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【コンペ#14】デザコン2024 in 阿南 構造デザイン部門ダブル受賞!!



力を合わせて走り抜けた、デザコン2024 in 阿南

 デザコン指導教員の山根です。今年も涙と感動のデザコンのシーズンが幕を閉じました。過去13年間で毎年何らかの賞を受賞している(最優秀賞1件、優秀賞8件、特別賞6件)徳山高専デザコン構造チームですが、大会にいたるまでの道のりは決して楽なものではありません。4月にデザコンの募集要項が掲載され、11月の本選に向けて悩み、苦しみ、色んな困難がある中で、それでも協力して一つの目標に向けて学生たちが走り続ける姿はとても輝いて見えますし、かけがえのない思い出になったことと思います。
 本大会では、30高専から全52作品が構造デザイン部門にエントリーしました。出場するからには最優秀賞を目指して、これまで授業や実験で学んだ知識を活かして構造的合理性をもつ作品作りに頭を悩ませるのですが、徳山高専のデザコン構造チームは「構造的合理性だけに偏重せずにいかに面白いアイデアを形にできるか」といったところが昔からの伝統となっています。本大会の作品も、細かい部分に様々な工夫をこれでもかと詰め込んだものとなりました。そして、本校から「魁兜(かいと)」が優秀賞(第3位)、「翠月(すいげつ)」が審査員特別賞(第4位)というダブル受賞を果たしました。約半年間にわたってこの日のために努力した結果が形として残ることになり、本当に素晴らしい結果となりました。

大会後の記念撮影!みんなおめでとう!

まさかの要項発表、昨年に続き…!?

 デザコンの募集要項は毎年4月に発表されます。そして毎年、趣向を凝らした要項に頭を悩ませることになります。要項の発表時期が近づくと、「そろそろかな、今年はいったいどんな内容だろう…」というドキドキが。そして今年は例年よりも少し早めの4月5日に公式ホームページが更新され、ドキドキしながら募集要項を開くと…

「本大会の課題は、2023年舞鶴大会と同様です。」

 マジか!!??かなり衝撃的な内容です。今まで毎年変わってきた要項が、まさかの昨年と同一条件。最初に要項を読んだときは、誰もが「去年の上位の作品はみんな知ってるわけだから、似たり寄ったりで面白くなくなっちゃうんじゃない?」という不安が一瞬よぎりました。しかしながらよくよく考えてみるとこの課題設定、めちゃくちゃ難しいことに気が付きます。昨年度上位の作品が知れ渡っているからこそ、どうやって他の高専と差を付けていくかを考えないといけません。それに、デザコン構造部門は作品の強度だけでなく、審査員評価点も総合点数に加味されます。「昨年と全く同じものを出されると、自分が審査員の立場だったらどうだろう…?」考えることが尽きません。
 ここで本大会、そして昨年度の大会の募集要項をざっと見てみます。主要な点は以下の3つ。

  • 2~4つの部材に分解・組立できる構造の長さ900 mmの橋を、指定された紙で製作すること。(分割数が多いほど、また軽量であるほど高得点。)

  • 組立・設置時間は120秒以内とすること。(昨年度はこれが90秒でしたが、あまりの厳しさに時間オーバーが続出。本大会では若干延長になりました。)

  • 橋梁の中央に40 kgの静的荷重を載荷した状態で、片方の支点を約3 cm落下させて生じる衝撃荷重に耐えること。

 この条件、過去のデザコンと比べても桁違いに難しく、昨年学生たちが頭を悩ませまくった内容でした。昨年度の舞鶴大会でも徳山高専は優秀賞を受賞していますが、昨年の大会を迎えた時点でやれることは出し切ったつもりだったものを今年どこまで進化させることができるのか…?波乱の幕開けです。

昨年度の舞鶴大会!
前年活躍した先輩や過去の自分たちも、今年はライバルです。

毎年恒例、校内予選で本戦出場メンバー選抜!

 構造デザイン部門は毎年基本的に各高専から2チームまでエントリーでき、1チーム6人程度で編成されます。そうはいっても毎年、デザコン構造やりたい!という学生が12人でおさまることはありません。そこでいつも春先に3~4チーム編成して、夏休み終わりごろに学内で本戦出場メンバーを決める校内予選を開催しています。これが徳山高専の強みでもあります。
 さて、今年もデザコン構造やりたい人!と募ったところ、立候補者はなんと29人、仮にチームを編成すると全5チーム。嬉しい悲鳴ですが、さすがにこれは例年にない多さになるうえ、決して広くない部屋(通称:デザコン部屋)には人数が入り切りません。どうしたものか…と考えた結果、今年は校内予選までにはメンバーを固定せず自由に参加して、参加の程度を見て校内予選後に本選メンバーを決めましょう、という新しい試みを導入しました。
 が、しかし。結論から言うとこれがかなりの大失敗……。例年、各チーム内でメンバー同士が連絡を密に取り合って情報共有や予定のすり合わせをしていた部分が完全に回らなくなってしまい、思い通りにいかないフラストレーションもみんなの中に溜まっていきました。そんな中でも一人一人ができることを頑張り、時に支えあい、時に涙を流し、時に笑いあいといった日々を経て、なんとか困難を乗り越えて迎えた校内予選。全4作品が鎬を削る激しい予選になりました。

波乱を乗り越えた校内予選! でも海田先生…指導教員がまさかのインフル罹患でオンライン💦
校内予選作品にも思い入れいっぱい!
昨年の徳山高専の本選作品のレベルを上回るガチバトル!

困難を乗り越え、いざ本選!

 校内予選を終えると夏休みも終わり、デザコン本選に向けてラストスパートがはじまります。といいつつも、ここからが本当に怒涛の日々。本選に出場したくてもできなかった仲間たちの思いも背負いながら、さらなるブラッシュアップを行いました。放課後になるとデザコン部屋に直行して、みんなと協力しながら作品作りや載荷試験に臨みます。
 このようにして本選への出場を決めた作品のひとつ「翠月(すいげつ)」は、昨年度の徳山高専の作品「繋弓―けいきゅう―(233 g)」の構造形式をベースにさらなる改良を加えた作品で、クロスした引張ケーブルで箱形断面の主構を繋ぐことで座屈方向を制御するハイブリッド構造となっており、208 gまで軽量化を図ることができています。実は昨年度「繋弓」は惜しくも衝撃荷重に耐えられなかったため受賞こそ逃したものの、審査員の先生方からの評価はとても高く、総合得点では受賞した「翼楝―よくれん―(289 g)」をも上回る点数を残していました。昨年度は衝撃荷重で引張ケーブル接合部が破断してしまったことから、「翠月」はケーブルの製作方法を中心に細やかな改良を重ねています。また、強度と軽さを両立するために橋の高さを高くしつつ横幅をギリギリまで狭めることで、構造全体のわずかなねじれが橋全体の横倒れによる崩壊を誘発してしまうことから、ねじれを生じさせないための製作上の工夫を詰め込むことによって抜群の安定感を生み出しています。

翠月

 一方の「魁兜(かいと)」は、昨年度の二作品から抜本的な構造の見直しを行い、細長いI型断面の圧縮材を薄い膜材でつないだトラス構造になっています。圧縮材の製作方法や引張ケーブルの接合部など、構成するパーツすべてに工夫を施したことで、わずか178 gまで軽量化を図ることができています。あまりの工夫の多さに、展示用のポスターに載せきれていないものや、会場で他の高専に公開していない製作上のアイデアも実は多くあります笑

魁兜

 そして迎えた本選当日。二日間にわたる大会は、今年は徳島県の阿南高専を舞台に行われました。しかし当日は台風が近くに来ていることもあり、あいにくの大雨・・・紙でできている作品にとって、会場の湿気は天敵です。そんな壁も乗り越えながら、会場に到着するとまずは仕様検査からスタートです。ここで引っかからないかどうか毎年ドキドキですが、無事に両作品とも仕様検査クリア。また、仕様確認と並行して審査員の方々による各作品への質疑応答も行われます。質疑応答では各チームから一人だけが代表者として作品の前に立って回答することができ、「翠月」ではCA3中越凜子さん、「魁兜」ではCA4福寿幹さんが質疑応答に臨みました。どんな質問をされるか全く事前に分からないなか、遠方から伺っている限り二人とも抜群の受け答えをしていました。

作品の寸法などの確認を行います。載荷試験より緊張するかも!?

 仕様確認と質疑応答が終わり、いよいよメインの載荷試験が始まります。初日は「翠月」の載荷試験からです。3高専同時に載荷を行っていき「翠月」の載荷順は6組目。前年同様に難しい条件の中で、今年も多くの高専が衝撃荷重まですべてクリアすることが難しいという様相を呈していました。そんな中で迎えた「翠月」の番。練習通りに迅速な架設を行い、架設時間による減点もありませんでした。そして載荷試験では、滑車で繋がれた錘受けに静的荷重を次々と載荷していき、抜群の安定感で静的荷重40 kgをクリア。続く衝撃荷重もクリアし、初日の全載荷試験が終了した時点で全体の2番目につける好成績を残しました!

架設中の「翠月」
載荷試験終了直後のメンバーたち。ここまでよく頑張りました!!

 そして迎えた二日目の載荷試験では本校のもう一つの作品、「魁兜」の載荷試験が行われました。最初の架設では素晴らしいチームワークを発揮し、僅か65秒で設置を完了させました。続く載荷では、荷重が増えていってもほとんど橋の形が変形しない高い剛性を発揮して40 kgの静的荷重をクリアしました。そして衝撃荷重の載荷にうつり、審判の旗が上がるまでのとてつもなく長く感じる10秒間を終えて旗が上がった瞬間、徳山高専チーム全員が歓喜の輪に包まれました!

載荷試験中の「魁兜」

 結果として、「魁兜」が3位となり優秀賞、「翠月」が4位で審査員特別賞を獲得することができました。優秀賞は4年連続ですが、ダブル受賞は実に8年ぶりです。多くの困難がありましたが、それを乗り越えて素晴らしい結果を得るとともに、この半年間でかけがえのない思い出をつくることができました。これもすべて、デザコン活動を応援してくださった多くの方のおかげです。本当にありがとうございました。
 4月の要項発表から11月の本選まであっという間でしたが、この期間が学生にとって大きな成長に繋がったことと思います。本選までには学生ならではの様々な苦悩があり、終わったころにはもうヘトヘト、「もうやり切ったから来年はやらんけーね!」と言いつつも翌年の募集要項が出るころには「今年もやるよ!」とちゃっかり気合がみなぎっている様子は、私がデザコンをやっていたころから変わっていないようです笑 来年の福井大会では、どんなテーマで作品を作るのか、そしてなにより新しい新一年生をはじめ、どんな学生がデザコンに参加してくれるのか、今からとても待ち遠しいです。

帰校後デザコン部屋で!みんなお疲れさまでした!

リーダーから

「翠月」リーダー:CA5 福島 鈴葉さん
 今回初めてリーダーをさせていただいて、分からないことも多くたくさん迷惑をかけてしまいましたが、デザコンメンバーのみんなのおかげで楽しく活動することができました。制作段階では思い悩むことも多くありましたが、何度も載荷実験を行い試行錯誤を繰り返して、本選では衝撃荷重まで耐えることができてとても嬉しかったです。
 4ヶ月間みんなが頑張ってきたことがダブル受賞という結果につながって本当に良かったと思います。
 デザコンは、活動を通して先生方や他学年の人と仲良くなれることや、構造について詳しくなれることが魅力だと思います。なのでもしデザコンに参加するか迷っている人がいたらぜひ参加してみてほしいです。大変なこともあるかもしれませんが、最後には「やってよかった!」と思えると思います!
 最後に、これまでデザコン活動を支えてくださった先生方やデザコンメンバーのみなさん、本当にありがとうございました!

「魁兜」リーダー:CA4 廣中 隼輝くん
 初めに、デザコンメンバーや先生方、これまでデザコン活動を支えてくださりありがとうございました!放課後学校に残って夜遅くまで作業したり細かい作業をひたすらやったりして大変でしたが、今思えば良い思い出です!
 「結果は後からついてくる」
 自分が1年生の時に海田先生から聞いた言葉を心に留めて、結果にこだわり過ぎずに楽しく活動するよう心がけました!班員も楽しいと思えてたら嬉しいです!
 デザコン活動をするか悩んでる人には、デザコンでもそれ以外でもいいので高専生活の5年間で何かやってみることをおすすめします!それが自分に合っていたらラッキーと思うくらいでいいと思います!
 みんな今年もありがとうございました!

おまけ

 デザコン会場ではスポンサーとして様々な企業さんがブースを出展されています。そこで毎年、徳山高専チームのもう一つのガチバトルが開催されています。スポンサーの日建学院さんが行っているイベントで、建築に関するクイズ&じゃんけん大会の結果によるうまい棒争奪戦です。徳山高専デザコンチームは毎年、構造デザイン部門もガチですが、こっちも超々全力で挑んでいます笑

空き時間にクイズの一つである構造力学の問題に挑んでます!

 全員で協力してクイズを解き、日建学院さんのブースに持って行って回答の確認をしていただきます。「あっとるかな?大丈夫かな?」とドキドキですが、無事に全問正解!社員の方々とのじゃんけんバトルへと駒を進めます。5人がじゃんけんをして、勝った回数によりもらえる数が変わってくるので超真剣勝負です笑
 ところが…先鋒は「あいこ」、次鋒は「負け」と、徳山高専チームにとっては悔しいスタートに。(この間、日建学院さんはウキウキ、テンションMAXです)

 続いて中堅の出陣です。嫌な流れを断ち切れるか…最初はグー、じゃんけんぽん!

こっちはチョキ、相手はパー!

 ついに初勝利!流れが向いてきました、次は副将の出陣です…!最初はグー、じゃんけんぽん!

チョキ、そしてパー!

 2連勝!ここにきてタイに持ちこみ、徳山高専チームのボルテージも最高潮!!! そして勝負は大将戦に…果たしてどうなるか…!?

双方気合十分!
じゃんけんぽん!!!!・・・・あっ
大将、無念の敗北!その場に崩れ落ちる…

 大将は重圧に負けてしまいましたが、今年も大盛り上がりのじゃんけん大会でした笑 来年は全勝します!!!