【コンペ#01】 WPAA 世界ペーパーアーキテクト大賞2022 佳作受賞!!
土木建築工学科 4年 中原陸さん 佳作受賞!
第1回「世界ペーパーアーキテクト大賞2022」において、土木建築工学科4年、中原 陸さんの作品「-らしく-minus-」が、全世界から寄せられた360作品の中からグランプリノミネートされ、令和4年6月18日に越前和紙の里 紙の文化博物館(福井県越前市)で行われた、最終審査会において佳作を受賞しました!
CONCEPT
「建築には一定のカタチがなく、足すではなく、引くという行為で空間を自由に構成し、まるで建築がその時々にあわせ、生きているかのように変化していく。紙だからこそ実現できる柔軟なカタチの動きは、モノに灯っている命を未来へ繋ぐ方法である」 中原陸
この建築物を作るに至った経緯はなんですか?
第一に、建築環境工学という授業で徒然草が紹介されました。私はそれに興味を持ち、読んでいくうちに第82段に出会いました。私はそれをこのように解釈します。「完成させないことは、モノに灯っているいのちを未来へ繋ぐ方法である」と。まさにいのちの輝きを保ち続けることだと思いました。
第二に、私にはモンゴル出身の友人がいます。人々が縄張りを考えず、一つのフィールドを共有し強く生き、かつ個々人が輝いている文化を知りました。それを基に、好きにライフスタイルを変更でき、多様な輝きを放つ人々が互いに惹かれ合い、自分らしく住みこなせるような建物を作りたいと思いました。
今回のテーマをどのように表現していますか?
私は既存状態に加えて成長させる建築ではなく"引く"ことで輝きを与えようとしました。この建築物は有孔の床と紙管、紙製の壁から成っています。初めは紙管だけの空間が広がります。その紙管を"間引き"、紙壁で線を"引く"ことで、どんな空間にも向き合います。空間の用途に合わせて幅や厚さ、色を変えることも、紙に香りをつけることもできます。紙だから成せる技です。468本ある紙管をどんなふうに引いても構いません。時に大きく開いて賑やかな商店に、小さく囲んで静かな茶室に。引いて引いて、らしく暮らして、ワクワクする方へ。ひとりひとりが心躍るカタチを見つけることができてこそ、いのちが輝く建築物だと思うのです。
制作した建築物を作るにあたって一番苦労した点はどこ?
468本ある紙管を製作したことです。紙ストローを縦方向に半分に割り、さらに適当な長さにカットします。それを指で丸めて紙管をつくります。その後、マスキングテープで白く化粧します。制作物をA4サイズに収める必要があるため、もとの紙ストローの太さではなく、このように小さい紙管で表現することにしました。紙ストローは大変硬いです。ひとつひとつを手作業で行ったため、人さし指が真っ赤になりました。膨大な時間と体力を消費しましたが、指も心もたくましくなったと思います。
制作した建築物を通じて、環境のことをどうとらえていますか?
現実に建設することを想定しました。紙管と紙の壁は、軽くて薄いため、建材としてトラック輸送する際の環境に対する負荷は減らせる算段です。また私自身は寮住まいなのですが、帰省する際に模型を部品ごとに分解して、リュックに入れて電車で持ち帰りました。この経験から身をもって軽さ薄さによる運びやすさを実感しました。このようにこの作品は紙製品の持つポテンシャルを十分に生かして制作した建築物です。紙素材本来の吸湿作用等による運用面からの建築環境だけでなく、建設運搬する際の負荷も環境のこととして捉える必要があると思っております。
最終審査会の様子は You Tubeで御覧ください!!
中原くん発表は 1:08:40 〜 1:15:10 頃