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【コンペ#15】 第15回 高校生の「建築甲子園」 奨励賞受賞!!
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土木建築工学科3年 山本佑斗さん 土木建築工学科2年 前田 悠翔さん、松橋 隆彦さん 奨励賞受賞!!
第15回高校生の「建築甲子園」(日本建築士会連合会主催)において、土木建築工学科3年生、2年生の混成チームによる「イナリ湯」が、山口県建築士会で審査され、都道府県別、山口県全国大会出場代表校に選出されました。
山口県大会予選のもよう
令和6年10月28日、山口県代表を決める予選会が県建築士会館で行われました。徳山工業高等専門学校から2作品、柳井商工高等学校から3作品、合計5作品から、4名の選考委員の選考の結果、本校の【イナリ湯】が県代表に選ばれました。
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県大会予選では、「建築甲子園」のテーマである「地域のくらしーまちに住む・地域に開く戸建の住まい」を基本とし、コロナというパンデミックが起こり、働き方、住まい方が変化する今、一方で、度重なる自然災害による助け合いや少子高齢化による単身高齢者の増加など、地域でのコミュニティが重要となってきた社会の現状を踏まえ、提案者が地域の暮らしと周辺環境に目を向けて、現況や従来型にとらわれず、職業、家族構成、構造、規模、さらには新築、増築、建替え、リノベーションやコンバージョンなど建築形式も自由に設定し、提案者の自慢の町・環境を生かした地域コミュニティのきっかけとなる「職住一体の戸建ての家」を計画理念として様々なケースの提案を期待しながら審査しました。審査項目については、①テーマの理解度、②提案度、③具体性、④独創性、⑤表現力等の5項目とし、評価は各審査項目共に10点満点とし、1作品につき委員の持ち点を50点満点、合計200点満点で最上位の得点チームの作品を選抜することとしました。また、公平性・公正性を確保する観点から、応募チーム名を伏せて終始匿名で選考を行いました。
応募のあった5作品のそれぞれの合計点は各委員共に同様の傾向でしたが、上位と下位では多少の差が生じました。そのような中で上位の作品は、「新たなふるさとの構築」をテーマに昔ながらの街道の雰囲気を残す参宮通りに、ふるさとの思い出づくりと地域に根差した銭湯を夫婦で営む「戸建の住まい」の提案でした。
応募要領に必要図面として要求された配置図等の表現・精度について課題もありましたが、働きながら暮らすことのできる職住一体の戸建の家がイメージできる記述やテーマの理解度、提案度、具体性も優れていることから選抜作品としました。最後に、本「建築甲子園」に応募され、貴重な時間と労力を費やされ、提案していただいた各チームの皆様に敬意を表すとともに、心より感謝いたします。
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全国大会結果
全国大会では、全国から寄せられた37作品の中から奨励賞を受賞しました、おめでとうございます!
【イナリ湯】 CONCEPT
昨今の日本の地域社会では住民同士の関わりが減少し、地域での体験をすることが難しくなっています。そのため、地域への愛着を持ち、帰りたいふるさとと感じてもらうために、地域での体験を提供できる、新たなふるさとの構築をするための提案を考えました。そして、下松市の花岡地区には花岡八幡宮があり、毎年地域とのつながりを保つ、狐の嫁入りという特有の行事が行われています。また、近くには花岡小学校があり、登下校の際には多くの子供たちが通っていて、世代間での交流が見込めます。さらに、山口県には文化湯という有名な銭湯があります。これらの要素から文化湯という銭湯文化がある山口県の花岡地区で新たに銭湯を始め、文化湯のように地域に根付いた銭湯を作ることを目指しました。
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制作過程でこだわったこと
今回の建築甲子園のテーマに沿った設計を行うために、まず地域と密接な職業について話し合い、自分たちが設計するものがテーマとマッチするようにこだわりました。また、設計を行う土地として選択した花岡という地域について知るために花岡へ行き、その街並みや、花岡八幡宮について調べました。その地域ならではの特徴を出すために、花岡の狐の嫁入りを取り入れ、花岡らしくしようとこだわりました。他にも、銭湯を設計するにあたり周南地区で有名な文化湯にも伺い、職住一体の銭湯や、地域と銭湯の関わりなどについて教えていただきました。文化湯で教えていただいたことを活かして、地域住民に寄り添った形の銭湯にしようと設計やコンセプトをこだわりました。
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銭湯の形にこだわりました。西日本であることを意識して中央に湯舟を配置することを第一に考え、さらにペンキ絵が浴室の顔となるような設計を目指しました。また、花岡地区が宿場町であったことから、風土に馴染む銭湯を考えて軒の長くし、和を基調とした建築となるようにこだわりました。
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制作過程で苦労したこと
コンセプトの練る段階からなかなか抜け出せず、具体的な提案をするまでが大変でした。抽象的なことばかりを考えてしまい、建築としての提案が進まず、スケジュールがタイトになってしまいました。余裕を持って制作することは意外と難しいことだと実感しました。
テーマに沿った設計のために地域に開いた生活というものを、住まいに取り入れるのがとても難しかったです。設計に使用する土地が狭く、そこにコンセプトにあった銭湯と住居空間を組み入れられるように考えるのに苦労しました。現在減少傾向にある銭湯をあえて設計するにあたって、現代の文化にあった形式の銭湯をどう提案するのか悩みました。
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コンペに参加しようと思ったきっかけ
高専に入った時から建築に興味があり、建築が好きな友達と仲良くなってその人の紹介でコンペに参加させていただきました。高専に来て建築が学べるのでせっかくなら高専らしいことをしたいと思いコンペに参加しました。
普段の授業だけでは身につかない、実際に設計して提案をする力を得たいと思ったのがきっかけです。建築が好きな人が高専にたくさんいたことも参加する後押しになりました。
最後にひとこと
自分は建築で製図をしたり、模型を作ったりすることはあまり得意ではないのですが、建築のことは好きで、友達と話しながらコンセプトや設計をするのはとても楽しかったので建築甲子園に参加できてよかったです。高専に来て何か特別なことをしてみたいと思っていたので、自分が好きな建築で楽しみながらコンペができてすごく良かったです。次回は、もっと時間をかけてたくさん話しながら、こだわりのある面白いものを考えたいなと思います。
最後に
今年度受賞の3人は、地道にコツコツ積み上げる・・・・。たくさんアイデアはありましたが、つくっては壊し、つくっては壊しを繰り返しこの形に行きつきました。深く深く考えることを学んだ夏だったのではないでしょうか?今年度の経験を活かし、来年度さらに高みに駆け上がってほしいと願っています。その時は、後輩たちにもその景色を見せてあげてほしいです!
さて、今回もこのような素敵な機会を提供いただいた、公益社団法人 日本建築士連合会、一般社団法人 山口県建築士会の皆様に改めて感謝申し上げます。ありがとうございました!! 今年度は柳井商工さんとも切磋琢磨でき、本当に僅差で山口県代表の座を勝ち取りました。来年もこれに驕らず、まずは、山口県代表を目指して、来年こそ本当に、本当に全国ベスト11を目指して楽しみます!!